表面処理ガイド

電気亜鉛めっきの外注先を探す前に整理すること

「電気亜鉛めっきでよいのか」「クロメートは何を指定すべきか」を調べる段階から、 実際に外注先へ相談する段階へ進むためのページです。図面、仕様、見積条件、業者変更時の確認項目を整理します。

整理の順番

外注先へ問い合わせる前に整理する順番

電気亜鉛めっきは一般的な処理ですが、外注相談では「図面や顧客指定で固定されている条件」と 「処理先に任せてよい条件」を分けておく必要があります。 先に処理名だけを決めるより、部品の使われ方と図面条件から戻って考える方が、見積の精度と回答速度が上がります。

01

図面

材質、処理記号、膜厚、マスキング、ねじ部の扱いを確認

02

用途

屋内外、外観、摩耗、塩害、後工程、組付け条件を整理

03

数量

試作、小ロット、量産、継続品かスポット品かを分ける

04

品質

外観基準、白錆、検査方法、梱包、証明書の要否を決める

電気亜鉛めっき工程で部品とねじが治具に掛かったイメージ

工程イメージから見る確認ポイント

治具掛け、ねじ部、穴まわり、外観面は、膜厚や後処理だけでなく検査・梱包条件にも影響します。

治具掛けねじ部穴まわり外観面

選定

電気亜鉛めっきだけで決めず、用途から候補を並べる

同じ防錆目的でも、電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっき、後処理、代替処理で確認点が変わります。 まずは要求品質に対して候補を並べ、処理先へ相談できる状態にします。

候補向いている相談確認したい点
電気亜鉛めっき薄膜で寸法影響を抑えたい部品、ねじ、板金部品膜厚、後処理、白錆、ベーキング要否
溶融亜鉛めっき屋外構造物、大型鋼材、防食性を重視する部材外観、寸法変化、ねじ部、再加工の可否
亜鉛ニッケル系耐食性や環境対応の要求が高い部品要求仕様、コスト、対応可能な処理先
塗装・電着塗装外観、色、面積、組立後の防食を重視する案件前処理、膜厚、治具跡、乾燥条件

図面の確認

図面・仕様書に書く前に決めておく項目

めっきは後工程に見えますが、ねじ、圧入、摺動、外観面が絡むと部品機能そのものに影響します。 図面表記は会社や顧客指定で異なるため、ここでは規格値を断定せず、外注先へ確認すべき論点として整理します。

項目確認すること発注前の見方
処理範囲全体処理か、部分的に処理不要な箇所があるか圧入部、接点、溶接予定箇所、外観面は別指示にする
膜厚最小値、範囲、測定箇所、ねじ部への影響公差が厳しい箇所は処理後寸法で確認する
後処理三価クロメート、黒色、外観色、環境資料の要否現行品の色調を写真だけで判断せず、可能なら現物で比較する
熱処理品硬度、強度区分、曲げ加工、ばね性の有無水素脆性リスクがある場合はベーキング要否を確認する

図面のどこに、何を書き分けるか

処理名だけでは決まりません。処理範囲、膜厚の測定位置、ねじ部、処理後寸法を分けて指示します。

図面指示例
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  1. 1
    処理範囲

    全体処理か部分処理かを分ける。接点、圧入部、溶接予定箇所は「処理しない範囲」として図面に明示する。

  2. 2
    膜厚と測定位置

    膜厚は部位によって付き方が変わる。どこで測った値を保証するのかを決めないと、合否が揃わない。

  3. 3
    ねじ部

    めっき厚のぶんだけねじは渋くなる。処理後にゲージで確認するのか、マスキングするのかを先に決める。

  4. 4
    処理後の寸法

    公差が厳しい箇所は、図面の寸法がめっき前なのか後なのかを明記する。ここが曖昧だと必ず揉める。

電気亜鉛めっきの基本注記

処理: 電気亜鉛めっき。後処理、膜厚、外観基準は発注仕様書による。

規格値を断定せず、社内図面や顧客仕様に合わせて膜厚・後処理を確定する。

ねじ部を重視する注記

ねじ部は処理後ゲージ確認。必要に応じてマスキングまたは後加工可否を確認。

ねじの組付け不良を避けるため、処理後寸法で見る箇所を明示する。

部分マスキングの注記

斜線部はめっき不要。圧入部、接点、溶接予定箇所は処理可否を事前確認。

マスキング範囲は言葉だけでなく、図面や写真へ印を付けて伝える。

見積依頼のチェックリスト

見積依頼に入れる情報

最初の問い合わせで全てが固まっている必要はありません。ただし下の情報があるほど、処理可否、概算、追加確認が早くなります。

母材と材質記号

部品サイズと重量

数量、初回品、継続品の区分

希望するめっき種と後処理

図面上の処理記号、膜厚、規格

マスキングしたい箇所

ねじ部、圧入部、摺動部の有無

白錆や外観の許容基準

検査成績書やRoHS関連資料の要否

希望納期と現行業者で困っている点

業者変更

業者変更・処理移管では「同じ仕様」の確認が最重要

処理終了、納期悪化、品質不安、価格改定などで業者変更を考える場合、単に同じ処理名を伝えるだけでは不足します。 現行品、検査基準、梱包、外観許容、過去不具合を整理してから候補先を探すと、移管後のトラブルを減らせます。

仕様差

膜厚、後処理、色調、外観基準が現行品とずれる。

組付け差

ねじ、圧入、摺動部にめっき厚や治具跡が影響する。

物流差

梱包、乾燥、保管、輸送条件で白錆や擦れが出る。

発注前に潰す

見積前に避けたい失敗と、起きやすい不具合

亜鉛めっきのトラブルは、処理そのものだけでなく、設計、梱包、保管、組付け条件が重なって発生します。 相談の時点で懸念を言葉にしておくと、候補先から具体的な確認が返りやすくなります。

やりがちな依頼起きること
処理名だけで依頼する膜厚、後処理、外観基準が曖昧になり、見積後に確認が戻りやすい。
ねじ部を見落とすめっき厚で組付けが渋くなる、マスキングや後加工が必要になる場合がある。
白錆を保管だけの問題にする乾燥、梱包、輸送、保管、後処理条件をまとめて確認する。
現行品サンプルを出さない色調や外観の期待値が共有できず、量産移管で差分が出やすい。
亜鉛めっき部品の白錆や仕上がり差を比較する検査サンプルのイメージ

現象は処理だけでなく保管・梱包でも変わる

白錆や色調差は、後処理、乾燥、輸送、現行品との比較条件まで含めて確認します。

気になる現象先に確認すること外注先への伝え方
白錆が心配保管期間、梱包、輸送条件、乾燥状態、屋外暴露の有無後処理と梱包仕様をセットで相談する
ねじが渋いねじ精度、めっき後のゲージ確認、膜厚、マスキング可否組付け重要箇所を図面や写真で明示する
色調が合わない現行品、顧客承認サンプル、外観限度、照明条件色名だけでなく現物比較を前提にする
割れや破損が怖い高強度材、熱処理、曲げ応力、使用荷重水素脆性や後処理条件を初回から確認する

依頼文の例

外注先へ送る前の相談メモ例

まだ正式な見積依頼でなくても、この粒度で整理できていると処理可否や追加確認が早くなります。

電気亜鉛めっきの外注先を探しています。下記条件で処理可否と、見積前に追加で必要な情報を確認したいです。

  • 材質: SPCC / SS400 / その他
  • 処理: 電気亜鉛めっき、後処理は三価クロメート想定
  • 数量: 初回試作、月産、年間数量の目安
  • 確認したい点: 膜厚、ねじ部、白錆、検査成績書の要否
  • 添付できるもの: 図面、写真、現行品、過去の検査書

よくある質問

よくある確認事項

電気亜鉛めっきと溶融亜鉛めっきはどちらを選ぶべきですか。

小物部品、ねじ、板金など寸法影響を抑えたい場合は電気亜鉛めっきが候補になります。屋外構造物や大型鋼材で防食性を重視する場合は溶融亜鉛めっきが候補になります。実際には母材、寸法、公差、後工程、外観基準を合わせて判断します。

図面に亜鉛めっきとだけ書いてあれば見積できますか。

概算相談は可能ですが、発注段階では膜厚、後処理、外観基準、マスキング、ねじ部の扱い、検査資料の要否を確認した方が手戻りを減らせます。

めっき業者を変更するときに何を確認すべきですか。

現行仕様、過去の不具合、検査基準、梱包、治具跡、納入形態を整理します。可能であれば現行品、図面、過去の検査成績書をセットで確認します。

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