図面指示

亜鉛めっきのマスキング指示で確認すること

マスキングは処理不要箇所を守るための指示ですが、コスト、治具、外観、後加工にも影響します。範囲を図面や写真で示し、なぜ処理したくないのかまで伝えると、代替案を含めた相談ができます。

治具に掛けられた亜鉛めっき部品と、処理範囲を検討する図面

この処理の基本

マスキングを指示すると、現場で何が起きるか

マスキングは「貼って剥がす」手作業

マスキングは、テープ、キャップ、栓、専用治具などで処理したくない部位を覆う工程です。多くは人の手で貼り、処理後に剥がします。数量ぶんの手間がそのまま費用に乗るため、1個あたりではめっきそのものより高くつくこともあります。

「とりあえずマスキング」と書く前に、本当に皮膜が乗ってはいけないのかを確認してください。機能上問題のない部位なら、指示を外すだけで単価が下がります。

境界は、図面どおりの線にはならない

テープの縁には液が回り込みます。境界はミリ単位で正確には出ませんし、ロットごとに多少振れます。「この線から先は皮膜ゼロ」という要求は、実際には満たせないことがあります。

図面には、処理しない範囲と、境界がどこまでずれてよいかを書きます。境界の見た目が問題になるなら、そもそも境界を外観面に置かない設計にできないかを先に考えます。

なぜ処理したくないのかを書くと、代替案が出る

圧入部だから、導通が要るから、あとで溶接するから。理由が分かれば、処理先は別の手を出せます。圧入部なら処理後に穴を仕上げる、接点なら組付け前に当たり面を出す、溶接なら工程順そのものを見直す、といった選択肢です。

「斜線部マスキング」とだけ書かれた図面には、処理先は言われたとおりにするしかありません。理由を1行足すだけで、選択肢が増えます。

確認する項目

マスキング判断の観点

処理しない理由を明確にすると、候補先が代替案を出しやすくなります。

観点曖昧なままだと起きること候補先に伝える情報
圧入部めっき厚のぶん圧入がきつくなり、変形や割れが出る。処理不要範囲、処理後に仕上げる選択肢の可否
接点・導通部皮膜で接触抵抗が変わる。クロメート皮膜は特に効く。接点の位置、要求する導通条件
溶接予定箇所皮膜が残ると溶接品質が落ち、ヒュームも出る。工程順(めっき前に溶接できないか)、処理範囲
ねじ部マスキングか、処理後のゲージ確認か。決めていないと組付けで止まる。ねじの等級、処理後の確認方法
外観面の境界テープ境界の段差や液回りが、見える面に出る。外観面はどこか、境界のずれの許容
数量とコスト手作業のため、数量が増えるほどマスキング費が積み上がる。1ロットの数量、繰り返し発注の有無

チェックリスト

問い合わせ前に手元で揃えておくもの

処理しない箇所(図面や写真に明示)

処理したくない理由(圧入・導通・溶接・寸法)

境界がどこまでずれてよいか

外観面に境界が来ていないか

1ロットの数量と、繰り返し発注の有無

処理後に機械加工で仕上げる選択肢の可否

すべて埋めてから相談する必要はありません。未確定の項目は「未定」「現行品に合わせたい」「顧客指定を確認中」と書けば十分です。 空欄にするより、分からない項目として共有した方が、処理可否と追加確認を早く切り分けられます。

相談文の例

マスキング相談メモ

そのままコピーして、図面や写真を添えて送れる文面です。

添付図面の斜線部はめっき不要です。理由は◯◯(圧入部/接点/溶接予定)です。マスキングでの対応可否、境界のずれの目安、1個あたりの追加費用を教えてください。あわせて、マスキング以外の方法(処理後に仕上げる、工程順を変えるなど)があれば提案をお願いします。

よくある質問

相談前によく聞かれること

マスキングは必ずできますか。

形状、範囲、数量、要求精度によります。細かい範囲や複雑な境界は、手作業で安定して再現できないことがあります。可否と代替案を候補先へ確認してください。

境界はどれくらい正確に出ますか。

テープの縁には液が回り込むため、ミリ単位で正確な線は出ません。「境界から◯mmまでは皮膜があってもよい」という許容を決めておくと、判断が揃います。

写真だけでも相談できますか。

できます。処理不要箇所に印を付けた写真があれば、初期の可否判断は進みます。正式見積の段階では図面が要ります。

マスキングはどれくらい高くつきますか。

手作業なので、数量にほぼ比例します。形状と範囲によるため単価は候補先に確認してください。処理そのものより高くなることもあります。

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