表面処理ガイド

カチオン電着塗装の外注先を探す前に整理すること

カチオン電着塗装は、防錆、下塗り、量産安定性を重視する案件で候補になります。 外注先へ相談する前に、ワークサイズ、前処理、膜厚、上塗り、検査条件を整理します。

選定

塗装か、めっきか、下塗りかを先に分ける

カチオン電着塗装は万能な仕上げではありません。上塗り前提の下塗りとして使うのか、単独仕上げとして使うのかで、 要求される外観も耐候性も変わります。防錆、上塗り、意匠、膜厚、サイズ制約を分けて考えると、処理先へ相談しやすくなります。

候補向いている相談確認したい点
カチオン電着塗装防錆性、下塗り、複雑形状の塗り回りを重視する部品前処理、膜厚、吊り跡、上塗り、ワークサイズ
溶剤塗装色、意匠、補修性、少量対応を重視する部品下地、防錆要求、乾燥条件、塗装ムラ
粉体塗装厚膜、耐久性、環境対応、量産性を重視する部品膜厚、エッジ部、焼付温度、素材影響
めっき処理金属皮膜、導電性、寸法影響、ねじ部を重視する部品母材、後処理、膜厚、公差、水素脆性
カチオン電着塗装ラインで黒色部品が処理される工程イメージ

ライン処理として成立するかを先に見る

カチオン電着塗装は、防錆性能だけでなく、槽サイズ、吊り、前処理、乾燥、上塗り工程まで含めて外注可否を確認します。

槽サイズ吊り方前処理乾燥

処理可否

処理可否を左右する条件

カチオン電着塗装は、部品を槽へ入れて通電し、洗浄や乾燥を含めたラインで成立します。 処理名だけでなく、部品の姿勢と液の抜け方を先に確認します。

カチオン電着塗装で吊り方向と液だまりを確認する黒色部品のイメージ

吊り方向と液抜けは、外観と品質の両方に効く

袋形状、穴位置、治具跡、液だまりは、図面だけでは伝わりにくいので写真や現物で補います。

条件影響準備する情報
ワークサイズ槽、搬送、乾燥炉に入るかで処理可否が決まる最大外形、重量、突起部、変形しやすい箇所を伝える
吊り方向治具跡、液切れ、塗り回り、外観面に影響する外観面、接触不可の面、吊ってよい箇所を写真で示す
袋形状・液だまり洗浄液や塗料が残ると外観不良や乾燥不良につながる穴、隙間、重なり、溶接部の位置が分かる資料を出す
前処理油分、錆、溶接スケール、素材表面で密着が変わる入荷状態、前工程、保管状態、酸洗いや脱脂の要否を共有する
上塗り膜厚、密着、乾燥条件、最終外観の要求が変わる上塗り材、色、塗装工程、最終検査基準を分けて伝える

吊った姿勢で、液がどこに残るかを見る

槽に入るかどうかだけでは決まりません。どこを吊り、どこに液が溜まり、どこから抜けるかを分けます。

吊り方の検討
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    吊り位置

    治具が触れた箇所には跡が残る。跡が残ってよい面と、絶対に触れてはいけない外観面を先に分ける。

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    袋形状・液だまり

    角パイプ、箱形状、重なり部は、洗浄液や塗料が抜けずに残る。乾燥不良と外観不良の原因になる。

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    水抜き穴

    液が抜ける向きと出口を確認する。穴があるだけでは足りず、吊った姿勢で最下点に来るかを見る。

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    外観面

    組み付け後に見える面はどこか。隠れる面と分けておくと、治具跡の許容判断が早くなる。

図面指示

図面・写真に書き足しておく確認メモ例

カチオン電着塗装は処理ラインと治具条件に左右されます。図面だけで足りない場合は、 写真に外観面、吊り可否、液抜けの懸念を追記して渡すと確認が早くなります。

外観面と吊り位置

外観面は図示面を優先。吊り跡は裏面または隠れ面に設定できるか確認。

見える面と隠れる面を分けると、治具跡の許容判断が早くなります。

液抜け・袋形状

袋形状部は液抜け、乾燥、塗り回りを事前確認。必要に応じて水抜き穴を検討。

穴、隙間、重なりは写真で補足すると処理可否の判断が進みます。

上塗り前提

カチオン電着塗装は防錆下塗り想定。上塗り塗装との密着、膜厚、乾燥条件を確認。

単独仕上げか下塗りかで、外観基準と検査条件が変わります。

発注前に潰す

外注前に避けたい失敗と、起きやすい不具合

カチオン電着塗装は量産性に強みがありますが、処理可否と品質の安定は条件整理で決まります。 仕上がり後の見た目だけでなく、吊り、前処理、膜厚測定箇所を先に揃えておくことが重要です。

やりがちな依頼起きること
サイズ情報がない槽や搬送条件に合うか判断できず、見積前の確認が戻りやすい。
上塗り条件が曖昧下塗りとしての役割か、単独仕上げかで要求が変わる。
吊り跡を後から問題にする治具跡や液だまりは設計・外観基準と合わせて事前に確認する。
前処理を分けて考えない脱脂、化成処理、素材状態が塗膜品質に影響する。
気になる現象先に確認すること外注先への伝え方
塗り回り不足袋形状、奥まった面、重なり、通電しにくい箇所写真と断面イメージで塗ってほしい箇所を示す
治具跡が目立つ外観面、吊り可能箇所、接触跡の許容範囲見える面と隠れる面を分けて外観基準を決める
膜厚がばらつくエッジ、内面、測定箇所、膜厚指定の有無重要箇所の膜厚を指定し、測定方法を確認する
密着が不安素材状態、油、錆、溶接焼け、前処理履歴入荷状態と前工程を初回から共有する

部品の形状や吊り方で仕上がりが変わるため、図面だけでなく、写真、現物、使用環境、上塗り有無を合わせて伝えると話が進みやすくなります。

見積依頼のチェックリスト

見積依頼に入れる情報

カチオン電着塗装は、ワークサイズ、吊り方法、前処理、上塗り条件で処理可否が変わります。 初回相談では以下を揃えると確認が進みやすくなります。

母材、板厚、溶接部の有無

ワークサイズ、重量、吊り方法

防錆要求、使用環境、屋内外

下塗り用途か、単独仕上げか

上塗り塗装の有無と色指定

膜厚、外観、治具跡の許容範囲

前処理、脱脂、化成処理の条件

マスキングしたい箇所

検査成績書、環境資料の要否

希望納期、量産移管の有無

依頼文の例

カチオン電着塗装の相談メモ例

カチオン電着塗装は処理可否がサイズや吊り方に左右されます。外注先に送る前に、以下の粒度まで整理します。

カチオン電着塗装の外注先を探しています。処理可否と、見積前に必要な追加情報を確認したいです。

  • 材質・形状: 鉄系部品、溶接部や袋形状の有無
  • 用途: 防錆下塗り、単独仕上げ、上塗り前提のいずれか
  • サイズ・重量: 最大寸法、重量、吊り方の制約
  • 数量: 試作、量産、継続品の区分
  • 確認したい点: 膜厚、外観、治具跡、前処理、検査資料

よくある質問

よくある確認事項

カチオン電着塗装はどんな部品に向いていますか。

防錆性、塗り回り、量産安定性を重視する金属部品で候補になります。複雑形状や下塗り用途でも検討されますが、ワークサイズ、吊り方、前処理、上塗り条件を合わせて確認します。

カチオン電着塗装だけで仕上げにできますか。

用途によっては単独仕上げの相談もありますが、意匠性や色、耐候性が必要な場合は上塗りとの組み合わせを検討します。

見積前に何を伝えるべきですか。

材質、サイズ、重量、数量、用途、防錆要求、上塗り有無、マスキング、外観基準、希望納期を整理しておくと確認が進みやすくなります。

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