外観の確認

カチオン電着塗装の治具跡で確認すること

電着では治具から電気を流すため、接触部に塗膜は付きません。治具跡はなくせない前提で、どこに跡が付いてよいかを指定します。外観面と吊り可能箇所を写真で示すのが最短です。

治具に吊られた部品が電着塗装ラインを流れる様子

この処理の基本

治具跡が出る理由と、決めるべきこと

治具跡は、なくせない

電着塗装は、部品を治具(ハンガー)に掛け、そこから電気を流します。電気を流す以上、部品と治具は金属で触れていなければなりません。触れている部分には塗膜が付きません。これが治具跡です。

つまり治具跡は不良ではなく、工程の必然です。「治具跡なし」という要求は、電着では満たせません。決めるべきは、跡をなくすことではなく、どこに跡が付いてよいかです。

跡が付いてよい場所を、設計側が指定する

見えない面、あとで別部品が付く面、防錆をそこまで要求しない面。そういう場所を「ここに掛けてよい」と指定すれば、処理先は外観面を避けて掛けられます。指定がなければ、処理先は掛けやすい場所に掛けます。それがたまたま外観面だった、という事故が起きます。

写真に印を付けるのが一番早い方法です。「この面が外観面」「ここなら掛けてよい」の2つを示してください。

治具跡は錆の起点になる

塗膜が付いていない部分は、素地が露出しています。屋外で使う部品なら、そこから錆が出ます。外観だけの問題ではありません。

跡の位置が決まったら、そこに防錆が要るのかも決めてください。要るなら、後から補修塗装するのか、そもそも隠れる場所に跡を持っていくのか、という設計の話になります。

確認する項目

治具跡の確認項目

治具跡を避けるのではなく、残ってよい箇所を決めるのが実務です。

観点曖昧なままだと起きること候補先に伝える情報
外観面見える面に跡が出てから、初めて問題になる。外観面はどこか、隠れる面はどこか
吊ってよい箇所指定がないと、処理先は掛けやすい場所に掛ける。接触してよい面、穴、フランジ
接触不可の箇所接点、シール面、はめあい部に跡が付くと機能に効く。触れてはいけない部位とその理由
跡の防錆塗膜がない部分から錆が出る。屋外部品では効く。跡の位置の使用環境、補修の要否
吊り姿勢吊る向きで液の抜け方が変わり、液だまりが出る。水抜き穴の位置、吊り方向
量産の再現性ロットごとに掛け方が変わると、跡の位置も変わる。治具の設計、初品での位置合わせ

チェックリスト

問い合わせ前に手元で揃えておくもの

外観面(見える面)を写真で示す

吊ってよい箇所を写真で示す

接触してはいけない箇所と、その理由

跡の部分に防錆が要るかどうか

部品の重量(治具の設計に効く)

現行品のサンプル(跡の位置が分かる)

すべて埋めてから相談する必要はありません。未確定の項目は「未定」「現行品に合わせたい」「顧客指定を確認中」と書けば十分です。 空欄にするより、分からない項目として共有した方が、処理可否と追加確認を早く切り分けられます。

相談文の例

治具跡確認メモ

そのままコピーして、図面や写真を添えて送れる文面です。

カチオン電着塗装の治具跡について相談させてください。添付写真の赤枠が外観面、青枠が吊ってよい箇所です。◯◯部は接点のため接触不可です。治具跡が出る位置、量産時に同じ位置で再現できるか、跡の部分の防錆をどうするかを教えてください。

よくある質問

相談前によく聞かれること

治具跡はなくせますか。

なくせません。電着は治具から電気を流すため、接触部には塗膜が付きません。跡が付いてよい場所を決めるのが実務的な解決です。

写真で指示できますか。

できます。外観面と吊ってよい箇所に印を付けた写真があれば、処理先は治具を設計できます。図面より早く伝わります。

治具跡から錆びませんか。

屋外で使う部品では、跡が錆の起点になります。跡を隠れる面に持っていくか、補修が要るかを先に決めてください。

ロットごとに跡の位置は変わりますか。

治具が決まっていれば同じ位置に出ます。初品で位置を確認し、承認しておくと量産で揉めません。

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