なぜ亜鉛より耐食性が高いのか
亜鉛にニッケルを共析させることで、皮膜そのものの腐食が進みにくくなります。犠牲防食という基本の考え方は電気亜鉛めっきと同じですが、亜鉛単体より皮膜が長持ちするため、同じ膜厚でも高い耐食性が期待できるとされています。
電気亜鉛めっき+三価クロメートで顧客要求に届かない、という状況で候補に上がるのはこのためです。膜厚を上げてねじの嵌合を壊すより、処理そのものを変える方が筋が良い場合があります。
処理の基礎
亜鉛ニッケルめっきは、亜鉛にニッケルを共析させた合金めっきです。電気亜鉛めっきより高い耐食性が得られるとされ、自動車部品など要求の厳しい部位で採用されています。三価クロメートで耐食性が足りないときの現実的な選択肢のひとつです。

この処理の基本
亜鉛にニッケルを共析させることで、皮膜そのものの腐食が進みにくくなります。犠牲防食という基本の考え方は電気亜鉛めっきと同じですが、亜鉛単体より皮膜が長持ちするため、同じ膜厚でも高い耐食性が期待できるとされています。
電気亜鉛めっき+三価クロメートで顧客要求に届かない、という状況で候補に上がるのはこのためです。膜厚を上げてねじの嵌合を壊すより、処理そのものを変える方が筋が良い場合があります。
エンジンまわりやブレーキまわりのように、熱を受ける部位では、亜鉛めっきの耐食性が落ちやすくなります。亜鉛ニッケルは熱を受けたあとの耐食性の低下が比較的小さいとされ、こうした部位で採用されています。
使用環境の温度は、処理を選ぶうえで重要な情報です。常温前提で選んだ処理が、実際には熱を受ける位置に組み付けられていた、という食い違いは珍しくありません。
亜鉛ニッケルは、浴の管理、ニッケル共析率の管理、廃液処理のいずれもが電気亜鉛より難しく、対応できる処理業者が限られます。コストも上がります。
「仕様としては亜鉛ニッケルが最適だが、処理してくれる先が近くにない」という状況が起きます。処理を変える判断をする前に、処理先の確保まで含めて成立するかを確認してください。
電気めっきである以上、水素脆性のリスクは残ります。高強度材や熱処理品では、めっき後のベーキングが必要になります。
材質、強度区分、熱処理の有無は、必ず処理先へ伝えてください。図面に書かれていないために処理条件が決まらず、見積の回答が止まるという事態は避けられます。
確認する項目
耐食性が上がる代わりに、コスト、処理先、色調で現行品との差が出ます。
| 観点 | 曖昧なままだと起きること | 候補先に伝える情報 |
|---|---|---|
| 要求耐食性 | 電気亜鉛では届かない要求があるか | 顧客要求、使用環境、評価方法 |
| 使用温度 | 熱を受ける部位かどうかで選定が変わる | 組付け位置、想定温度 |
| 処理先 | 対応できる業者が限られる | 近隣で処理可能な先があるか、物流条件 |
| コスト | 電気亜鉛より単価が上がる | 許容できるコスト増、数量 |
| 外観 | 現行品と色調が変わる | 外観面、限度見本、顧客承認 |
| 材質・強度 | 高強度材ではベーキングが必要 | 材質記号、強度区分、熱処理の有無 |
チェックリスト
現行の処理と、満たせなかった要求
使用環境と想定温度
材質記号と強度区分
ねじ部、圧入部の有無
許容できるコスト増
外観の許容範囲と限度見本
数量と希望納期
処理先の物流条件
すべて埋めてから相談する必要はありません。未確定の項目は「未定」「現行品に合わせたい」「顧客指定を確認中」と書けば十分です。 空欄にするより、分からない項目として共有した方が、処理可否と追加確認を早く切り分けられます。
相談文の例
そのままコピーして、図面や写真を添えて送れる文面です。
電気亜鉛めっきで耐食性が足りず、亜鉛ニッケルへの切り替えを検討しています。現行の処理条件、満たせなかった要求、使用環境と想定温度を共有します。処理可否、コスト、色調の差、ベーキングの要否について確認したいです。
よくある質問
耐食性は上がりますが、色調が変わり、コストも上がります。対応できる処理業者が限られる点も含めて、置き換えが成立するか先に確認してください。
膜厚、後処理、評価方法によって変わるため、一律の数値では言えません。実部品に近い条件での評価を前提に、処理先と要求を突き合わせてください。
浴の管理や共析率の管理、廃液処理が電気亜鉛より難しいためです。設備を持つ処理先が限られます。
関連ページ