見積の準備

カチオン電着塗装の小ロット外注で確認すること

カチオン電着塗装は部品を1点ずつ吊って処理するため、数量が少なくても治具設計の手間は変わりません。槽の色、上塗りの有無、量産予定を最初に伝えると、対応可否の判断が早くなります。

図面と少量の部品サンプルを並べて、小ロットの見積依頼を準備する机上

この処理の基本

小ロットが割高になる理由と、その先の話

1個でも、治具は新規で要る

亜鉛めっきのバレル処理なら、小物部品は数量にかかわらずまとめて槽に投入できます。カチオン電着塗装はそうはいきません。部品は必ず1点ずつ吊って通電するため、形状が変われば吊り位置と治具を新しく起こす必要があります。数量が1個でも100個でも、この設計・製作の手間は変わりません。

つまり小ロットが割高になる主因は、めっきの段取り費以上に治具そのものの費用です。試作段階では「量産用の治具をそのまま使えるか」を先に相談しておくと、後から作り直しにならずに済みます。

槽の色は、簡単には変えられない

カチオン電着塗装は塗料を満たした槽に浸ける処理で、1つの槽は基本的に1色で運用されています。黒を主力にしている処理ラインに、小ロットだけ別色を頼んでも、槽の入れ替えや洗浄が必要になり対応できないことが多くあります。

色にこだわりがある場合は、見積の最初の段階で「その色の槽を持っているか」を確認してください。持っていない場合、別の処理先を探すか、上塗りで色を作る方法に切り替えるかの判断が必要になります。

上塗りを足すなら、工程がもう1つ増える

カチオン電着塗装だけで仕上げるか、上に粉体塗装や溶剤塗装を重ねるかで、必要な工程数が変わります。小ロットで上塗りまで頼む場合、下塗りと上塗りを別の処理先に分けると搬送と納期がその分延び、同じ処理先で完結できるかどうかが小ロットではより効いてきます。

上塗りの要否、色、光沢の指定は、下塗りの見積と同時に伝えてください。あとから足すと、下塗り済みの部品を運ぶ手間と待ち時間が発生します。

確認する項目

小ロット相談で確認すること

カチオン電着塗装は吊り処理が前提のため、亜鉛めっきの小ロットとは確認項目が違います。

観点曖昧なままだと起きること候補先に伝える情報
治具設計新形状は数量にかかわらず治具を新規で起こす必要がある。形状、吊り位置、外観面、量産時の流用可否
槽の色処理先が持っていない色は対応できないことがある。希望色、光沢、既存槽の保有色
穴・袋形状試作段階では水抜き穴が未検証のことが多い。穴位置、袋形状、吊り姿勢
上塗りの有無工程が増えるほど、小ロットでは搬送と納期の影響が大きい。上塗りの要否、色、光沢、同一処理先での完結可否
数量と継続性単発か継続かで、受けるかどうかの判断そのものが変わる。初回数量、月産見込み、年間見込み
検査資料少量でも成績書が要ると、測定と書類の手間が別に乗る。検査成績書、環境資料、初品承認の要否

チェックリスト

手元に揃えておくもの

初回数量と、継続の見込み

部品形状・吊り可能箇所・外観面

希望色と、既存槽での対応可否

上塗りの要否と、同一処理先での完結可否

希望納期と、急ぎかどうか

検査成績書・初品承認の要否

すべて埋めてから相談する必要はありません。未確定の項目は「未定」「現行品に合わせたい」「顧客指定を確認中」と書けば十分です。 空欄にするより、分からない項目として共有した方が、処理可否と追加確認を早く切り分けられます。

相談文の例

小ロット見積メモ

そのままコピーして、図面や写真を添えて送れる文面です。

小ロットのカチオン電着塗装を相談させてください。初回は◯個、量産に入れば月◯個の見込みです。希望色は◯◯で、上塗りは◯◯を想定しています。穴・袋形状の有無も含めて、対応可否と概算を教えてください。

よくある質問

よく聞かれること

1個から相談できますか。

治具の準備ができれば可能です。ただし形状ごとに治具を新規で起こすため、数量が少なくても治具費用は同程度かかります。

色は自由に選べますか。

処理先が持っている槽の色に限られることが多いです。希望色がある場合は、見積の最初の段階で対応可否を確認してください。

試作と量産で処理先を変えてもよいですか。

変えられますが、色調や膜厚、治具の再設計が発生することがあります。量産で移管するなら、試作品を現行品として比較できるよう手元に残してください。

納期はどれくらい見ておけばよいですか。

量産の合間に流すため、処理先の混み具合で変わります。断定的な日数はこのサイトでは示しません。候補先へ直接確認してください。

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