穴の判断

カチオン電着塗装で水抜き穴をどこに開けるか

水抜き穴は、開けさえすれば液が抜けるわけではありません。吊った姿勢での最下点に穴があるかどうかで結果が変わります。強度や気密の要求で穴を開けられない部品では、吊り方や処理範囲を変える検討も必要になります。

カチオン電着塗装で穴や袋形状の液抜けを確認する吊り部品のイメージ

この処理の基本

穴があることと、液が抜けることは違う

吊った姿勢で最下点にあるか

電着塗装は、部品を吊って槽に浸けます。液が抜けるかどうかは、吊った姿勢での穴の位置で決まります。図面上は底に見える穴でも、吊り方によっては上を向いてしまい、液が抜けません。

つまり「穴がある」だけでは足りません。どの向きで吊るのか、そのとき最下点はどこか、そこに穴があるか。この3点がそろって初めて液が抜けます。吊り位置は処理先が決めるため、部品の形状と外観面を先に共有してください。

残った液は後から出てくる

袋部や重なり部に液が残ったまま焼付炉に入ると、乾燥中に膨張して吹き出したり、後から滲み出して塗膜を汚したりします。出荷後に「白い跡が出た」という不具合の多くは、これが原因です。

残液は検査で見つけにくく、時間が経ってから表面化します。だからこそ、形状の段階で潰しておく必要があります。

穴を開けられない場合

強度や気密の要求で穴を開けられない部品もあります。その場合は、吊り方を変える、処理範囲を分ける、電着以外の処理を選ぶ、といった検討になります。

「穴は開けられない」という制約を先に伝えてください。処理先が別の成立方法を出せることがあります。設計が固まってから相談すると、選択肢が狭くなります。

確認する項目

水抜き穴の判断材料

穴を開けるか、どこに開けるかは、この4点で決まります。

観点曖昧なままだと起きること候補先に伝える情報
穴位置吊った姿勢で最下点にないと液が抜けない。穴径、位置、向き
穴径・形状小さすぎる、塞がりやすい穴は残液の原因になる。径、面取り、加工方法
穴を開けられない場合強度・気密要求があると別の対策が必要になる。吊り方変更、処理範囲分割、他処理の検討
乾燥後の残液焼付時に膨張・滲み出しで塗膜を汚す。乾燥条件、検査タイミング

チェックリスト

手元に揃えておくもの

穴径

穴位置

吊り可能箇所

穴を開けられない制約の有無

外観面

上塗り有無

すべて埋めてから相談する必要はありません。未確定の項目は「未定」「現行品に合わせたい」「顧客指定を確認中」と書けば十分です。 空欄にするより、分からない項目として共有した方が、処理可否と追加確認を早く切り分けられます。

相談文の例

水抜き穴の相談メモ

そのままコピーして、図面や写真を添えて送れる文面です。

カチオン電着塗装の水抜き穴の位置や可否について、吊り方向、穴を開けられない場合の代替案を確認したいです。

よくある質問

よく聞かれること

穴があれば液抜けできますか。

穴の位置、向き、サイズ、吊り姿勢で変わります。開けられない場合は吊り方や処理範囲の変更も検討します。

図面だけで判断できますか。

概略は判断できますが、吊り方向や最下点の位置は現物や写真があると精度が上がります。

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