一度で厚く塗れる
溶剤塗装では、厚く塗ろうとすると垂れが出るため、何度も塗り重ねる必要があります。粉体塗装は粉を付着させてから溶かすため、一度の工程で厚い膜が得られます。
厚い膜は、飛び石や接触による傷に強くなります。屋外の構造物、什器、機械カバーなど、耐久性が要る用途で選ばれます。溶剤を使わないため、環境負荷や作業環境の面でも採用されています。
処理の基礎
粉体塗装は、粉状の塗料を静電気で部品に付着させ、加熱して溶かし固める塗装です。溶剤を使わないため厚い膜が一度で得られ、耐チッピング性に優れます。ただし、焼付温度、エッジの膜厚、色替えのコストという固有の制約があります。

この処理の基本
溶剤塗装では、厚く塗ろうとすると垂れが出るため、何度も塗り重ねる必要があります。粉体塗装は粉を付着させてから溶かすため、一度の工程で厚い膜が得られます。
厚い膜は、飛び石や接触による傷に強くなります。屋外の構造物、什器、機械カバーなど、耐久性が要る用途で選ばれます。溶剤を使わないため、環境負荷や作業環境の面でも採用されています。
粉体塗装は加熱して塗膜を形成します。この温度に耐えられない素材には使えません。樹脂部品、熱に弱いアルミ合金、熱処理済みの部品では、焼付で強度や寸法が変わる恐れがあります。
また、組立後の製品に粉体塗装をかける場合、内部の部品やシール材が熱に耐えられるかを確認する必要があります。素材と組立状態を先に処理先へ伝えてください。
静電気で粉を付着させるため、電気的に不利な箇所には粉が付きにくくなります。深い凹部、内面、袋形状は膜厚が薄くなりがちです。逆にエッジは、溶けたときに膜が引けて薄くなる傾向があります。
防錆を粉体塗装だけに任せると、こうした薄い箇所から錆びます。複雑形状で防錆が要る場合は、カチオン電着塗装を下塗りにして、粉体塗装を上塗りにするという組み合わせが検討されます。
粉体塗装は、色を変えるたびにブースや配管の清掃が必要になります。少量多色の案件では、この段取りがそのままコストと納期に効きます。
少量、多色、短納期が重なる案件では、溶剤塗装の方が合理的な場合があります。数量と色数を先に伝えて、どちらが向いているかを相談してください。
確認する項目
厚膜と耐久性が得られる代わりに、熱と形状の制約が付きます。
| 観点 | 曖昧なままだと起きること | 候補先に伝える情報 |
|---|---|---|
| 素材 | 焼付温度に耐えられない素材には使えない | 材質、熱処理履歴、樹脂部品の有無 |
| 形状 | 凹部や内面は膜厚が薄くなる | 深い凹部、袋形状、防錆が必要な箇所 |
| エッジ | 溶けたときに膜が引けて薄くなる | エッジの処理、防錆要求 |
| 数量と色数 | 色替えの段取りがコストに効く | 数量、色数、希望納期 |
| 防錆 | 塗膜だけで防錆を担うと薄い箇所が弱点になる | 下塗りの要否、使用環境 |
| 組立状態 | 組立後だと内部の部品が熱を受ける | 単品か、組立後か、シール材の有無 |
チェックリスト
母材と材質記号、熱処理履歴
焼付温度に耐えられるか
単品か、組立後か
深い凹部、袋形状、内面の有無
色数と数量
使用環境と必要な防錆性能
下塗り(電着塗装など)の要否
外観基準と限度見本
すべて埋めてから相談する必要はありません。未確定の項目は「未定」「現行品に合わせたい」「顧客指定を確認中」と書けば十分です。 空欄にするより、分からない項目として共有した方が、処理可否と追加確認を早く切り分けられます。
相談文の例
そのままコピーして、図面や写真を添えて送れる文面です。
粉体塗装を検討しています。母材、部品形状、数量と色数、使用環境を共有します。焼付温度に対する素材の可否、凹部やエッジの膜厚、防錆を確保するための下塗りの要否について確認したいです。
よくある質問
電着塗装は複雑形状にも均一に付きやすく、防錆の下塗りに向きます。粉体塗装は厚く塗れて耐久性が高い一方、凹部やエッジが薄くなります。両者を組み合わせることもあります。
焼付温度に耐えられない素材には使えません。素材と熱の条件を先に確認してください。
色替えのたびに清掃の段取りが要るため、コストと納期に効きます。少量多色では溶剤塗装が合理的な場合があります。
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