厚い皮膜と、素地との合金層
高温の亜鉛浴に浸けるため、鉄と亜鉛が反応して合金層ができ、その上に亜鉛層が乗ります。電気亜鉛めっきとは比べものにならない厚みの皮膜が得られ、屋外で長期間の防錆が求められる部材で選ばれます。
厚いということは、そのぶん寸法が増えるということです。しかも、浸けて引き上げる工程なので、厚みは全面で均一にはなりません。垂れ、たまり、角部の厚みの偏りが出ます。公差が効く部品には向きません。
処理の基礎
溶融亜鉛めっきは、溶かした亜鉛の浴に部品を浸ける処理です。電気亜鉛めっきより厚い皮膜が得られ、屋外の構造物や大型鋼材で使われます。ただし、寸法変化、ねじ部の扱い、熱による歪みという固有の制約があります。

この処理の基本
高温の亜鉛浴に浸けるため、鉄と亜鉛が反応して合金層ができ、その上に亜鉛層が乗ります。電気亜鉛めっきとは比べものにならない厚みの皮膜が得られ、屋外で長期間の防錆が求められる部材で選ばれます。
厚いということは、そのぶん寸法が増えるということです。しかも、浸けて引き上げる工程なので、厚みは全面で均一にはなりません。垂れ、たまり、角部の厚みの偏りが出ます。公差が効く部品には向きません。
皮膜が厚いため、めっき後のねじはそのままでは嵌合しません。おねじ側をあらかじめ細く作る、めねじ側をめっき後にタップし直す、オーバータップで逃がすといった対応が必要になります。
この扱いは図面に書かれていないことが多く、現物ができてから「ボルトが入らない」と判明します。ねじがある部材では、めっき前後のどちらでねじを仕上げるのかを、先に決めてください。
亜鉛浴は高温です。薄板、細長い部材、溶接構造物は、浸漬時の熱で歪むことがあります。板厚、形状、溶接の入り方によって歪みやすさが変わるため、事前に処理先へ相談してください。
閉じた袋構造は特に注意が必要です。内部の空気や水分が高温で急激に膨張し、破裂につながる危険があります。溶接構造物では、空気抜き穴と亜鉛の抜け穴を必ず設ける必要があります。この穴の位置と大きさは、処理先と設計段階で決めてください。
溶融亜鉛めっきの表面には、スパングルと呼ばれる結晶模様や、垂れ、たまり、色ムラが出ます。均一で美しい外観を求める用途には向きません。
意匠が必要な場合は、溶融亜鉛めっきの上に塗装を重ねる、あるいは別の処理を選ぶことになります。上塗りを前提にする場合は、密着のための下地処理が必要になるため、塗装側と処理側の工程分担を先に決めてください。
確認する項目
厚膜、高温、浸漬という3つの特徴が、そのまま設計と図面の制約になります。
| 観点 | 曖昧なままだと起きること | 候補先に伝える情報 |
|---|---|---|
| 寸法・公差 | 皮膜が厚く、垂れやたまりで均一にならない | 公差が効く箇所、めっき後の仕上げの要否 |
| ねじ部 | そのままでは嵌合しない | めっき前後のねじ加工、オーバータップ、後タップ |
| 板厚・形状 | 高温で薄板や細長い部材が歪む | 板厚、部材長さ、溶接の入り方 |
| 袋構造 | 内部の空気や水分が膨張し危険 | 空気抜き穴、亜鉛の抜け穴の位置と大きさ |
| 外観 | スパングル、垂れ、色ムラが出る | 許容できる外観、上塗りの有無 |
| サイズ | 亜鉛浴に入らない部材は処理できない | 最大寸法、重量、吊り方 |
チェックリスト
部材の最大寸法と重量
板厚と、細長い部材の有無
溶接構造か、単品か
袋構造・閉断面の有無
ねじ部の有無と、加工の順序
公差が効く箇所
許容できる外観と、上塗りの有無
使用環境と必要な防錆期間
すべて埋めてから相談する必要はありません。未確定の項目は「未定」「現行品に合わせたい」「顧客指定を確認中」と書けば十分です。 空欄にするより、分からない項目として共有した方が、処理可否と追加確認を早く切り分けられます。
相談文の例
そのままコピーして、図面や写真を添えて送れる文面です。
溶融亜鉛めっきを検討しています。部材の寸法、板厚、溶接構造の有無、ねじ部の有無が分かる図面を共有します。歪みの懸念、空気抜き穴の必要性、ねじの扱い、外観の許容範囲について確認したいです。
よくある質問
屋外の構造物や大型鋼材で長期の防錆が要るなら溶融亜鉛、寸法影響を抑えたい小物やねじなら電気亜鉛が候補になります。公差、外観、サイズを合わせて判断してください。
そのままでは通りません。めっき前にねじを細く作る、めっき後にタップし直すなどの対応が必要です。加工の順序を設計段階で決めてください。
処理はできますが、高温で歪む可能性があります。板厚と形状を先に処理先へ伝えて、歪みの見通しを確認してください。
スパングルや垂れが出るため、均一な意匠外観は期待できません。意匠が必要な場合は上塗りや別処理を検討してください。
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