処理の基礎

化成処理とは:クロメートとリン酸塩の位置づけ

化成処理は、素地の金属を薬品と反応させて皮膜を作る処理の総称です。クロメートもリン酸塩処理も化成処理に含まれます。めっきや塗装のように「乗せる」処理ではないため、どの工程のどこに入るのかを理解しておかないと、図面の指定が噛み合いません。

化成処理された金属サンプルを色調ごとに並べた検査台のイメージ

この処理の基本

工程の「あいだ」に入る処理

素地と反応してできる皮膜

めっきは金属を電気や化学反応で析出させ、塗装は塗料を乗せます。どちらも素地の上に別のものを積む処理です。化成処理は違います。素地の金属そのものを薬品と反応させ、その表面を変質させて皮膜にします。

そのため、皮膜は素地としっかり結びついており、剥がれにくいのが特徴です。ただし、薄いため、皮膜単体で強い防錆力を持つわけではありません。

どの工程に入るか

亜鉛めっきの後にクロメート処理を行うのは、亜鉛そのものの腐食を遅らせるためです。この場合、化成処理はめっきの「後」に入ります。

塗装の前にリン酸塩処理を行うのは、塗膜の密着を上げるためです。この場合、化成処理は塗装の「前」に入ります。同じ化成処理でも、目的も入る位置も違います。図面に「化成処理」とだけ書くと、処理先には何をすればよいか伝わりません。

ノンクロム化成という選択肢

クロムを含まない化成処理も使われています。規制対応や顧客要求で選ばれますが、耐食性や密着の性能は従来のものと同じではありません。

「クロムフリーにしたい」という要求がある場合、その代替で性能が成立するかを、実部品に近い条件で確認してください。書類上の置き換えだけでは判断できません。

確認する項目

化成処理を指定するときに決めること

「化成処理」という言葉だけでは何も決まりません。目的と、前後の工程を明示します。

観点曖昧なままだと起きること候補先に伝える情報
目的防錆の補助か、塗装の密着かで種類が変わる何のための化成処理か
工程の位置めっき後か、塗装前かで意味が違う前後にどの処理が入るか
種類クロメート、リン酸塩、ノンクロムで性能が違う求める耐食性、密着、規制対応
規制クロムを含むものは制限を受ける場合がある仕向け先、顧客のグリーン調達基準
外観種類によって色が変わる色調、限度見本、現行品との差

チェックリスト

問い合わせ前に手元で揃えておくもの

何のための化成処理か(防錆補助・塗装下地)

前後に入る処理(めっき、塗装)

希望する種類(クロメート、リン酸塩、ノンクロム)

仕向け先の規制と顧客基準

現行品の色調と限度見本

必要な耐食性と評価方法

提出が必要な環境資料

数量と希望納期

すべて埋めてから相談する必要はありません。未確定の項目は「未定」「現行品に合わせたい」「顧客指定を確認中」と書けば十分です。 空欄にするより、分からない項目として共有した方が、処理可否と追加確認を早く切り分けられます。

相談文の例

化成処理の相談メモ

そのままコピーして、図面や写真を添えて送れる文面です。

化成処理の指定について確認したいです。前後の工程、目的(防錆補助か塗装下地か)、仕向け先の規制を共有します。適切な種類の選択と、現行品との色調差について相談したいです。

よくある質問

相談前によく聞かれること

化成処理とめっきの違いは何ですか。

めっきは素地の上に別の金属を積みます。化成処理は素地そのものを反応させて変質させます。剥がれにくい反面、薄いため単独では強い防錆力を持ちません。

図面に「化成処理」とだけ書いてあります。

何のための処理か、前後にどの工程が入るかが分からないと決まりません。目的と工程を明示してください。

クロムフリーにできますか。

ノンクロムの化成処理はありますが、耐食性や密着が同等とは限りません。実部品に近い条件で確認してください。

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